力丸もねこなもんで箱好きなのでございます。
猫並程度に嗜むようで、幅に無理があるサイズに体をねじ込んでみたり、(マンチカンは細長い箱を滑り台にして遊ぶんです)(細い箱に詰まったネコ、せっかく猛特訓で潜り込み成功したのに)己の高さの限界に挑戦ととすっぽりキツメな高さ広さに収まってみたり、(狭い箱ほど闘志を燃やす!ねこのダンボールへのアプローチはいろいろ)そんなことを日夜繰り返してございます。
ファンファーレ鳴り響かぬ中、ものすごいスピード感で横開口しておる箱にスライディングインして、猫発走ゲート入りましてさぁ発送!一匹でスタート。賑やかしておいでです。
力丸うるさいよと毎回審議ランプを灯されておる始末です。
五月雨のように舞い降りるアマゾン箱でございますので、マンチカン達におかれましては恰好の高級ベッドが匹も切らさず湧いてくるそんな状態なのでしょうよ。
後から後から溢れ出す想いではなく段ボール箱は同居人にとって邪魔で仕方ない忌むべきものにございます。
ほおっておきますと部屋が段ボールですし詰めになりかねませんので、古いものから解体作業をするわけであります。
同居人が鋏を手に取り力丸がここ数日使わなくなった飽きたであろう段ボールを掴み、解体作業にかかります。
すると力丸、血相をかえてかけつけます。
解体作業に従事する同居人を下から見上げるその瞳。本当に壊してしまうの?と訴えかけてる、ほのかに潤んでいるよう…
良心の呵責に苛まれながら、力丸よこれ以上ゴミ屋敷にするわけにはいかんのだ。
ちょっと眺めてみて御覧、ハコがゴミのようだつうかゴミなのよ。
心で語りかけ、後ろ髪を引かれる想いでゆっくりと壊すのであります。
がっくりと肩を落として悲しげに立ち去るように見える力丸の後姿。
その姿に瞼を閉じ、昨日のことのように、3日前のことですが、思い出す、その空箱と力丸の嬉々とした蜜月を。
振り返るまい、決意を胸に力丸に視線を戻すと。
別の空箱に飛び込み、こちらを向く得意満面の力丸がそこに。
そいつもバラす空箱なんだけどよぉ…まったく片付けが捗ることなく、散らかった部屋の日は暮れる。
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